熊本さいこう

熊本の住まいの地震・水害対策|耐震診断の補助・ハザードマップ・備蓄と避難

熊本市・県内全域 ・ 公開 2026年10月18日 ・ 確認日 2026年10月18日 ・ 約12分

熊本の住まいは、2016年の熊本地震と2020年7月の豪雨で、揺れと水の両方の被害を経験しました。

この記事の読み方|安全を保証するものではありません

この記事は現地取材ではなく、国・熊本県・熊本市などの公開情報の整理です。ハザードマップや診断は、あくまで想定や推定にもとづく目安であり、「この家は安全」と言い切るものはありません。筆者は建築士や防災の専門家ではないため、個別の家の判断は、市町村の窓口や有資格者への相談が前提です。制度の金額・期限は2026年10月18日時点のもので、予算や年度で変わります。

2016年熊本地震が示したこと|公的資料の数字

気象庁熊本地方気象台の概要ページによると、2016年4月14日21時26分にマグニチュード6.5の地震が発生し、益城町で震度7を観測しました。続く4月16日1時25分にはマグニチュード7.3の地震が発生し、益城町と西原村で震度7を観測しています。震度7が2度観測されたのは、気象庁の観測史上初めてと記されています。熊本県内の被害(2025年4月11日時点、関連死を含む)は、死者275人、住家の全壊8,657棟、半壊34,489棟、一部破損155,239棟です。

建築時期による倒壊率の違い

国土交通省が公表した「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイントには、日本建築学会が益城町中心部で行った木造建築物の悉皆調査の結果が載っています。建築時期別の倒壊率は、次のとおりです。

昭和56年(1981年)5月以前倒壊率28.2%(214棟)。調査した759棟のうち
昭和56年6月〜平成12年(2000年)5月倒壊率8.7%(76棟)
平成12年6月以降倒壊率2.2%(7棟)。調査した319棟のうち

同資料は、新耐震基準は旧耐震基準より約1.4倍の壁量が確保されているため倒壊の防止に有効だったと分析する一方、平成12年以降でも倒壊した7棟のうち、接合部が現行の仕様になっていないもの3棟、著しい地盤変状の影響1棟、局所的に大きな地震動が作用した可能性があるもの3棟があったとしています。住宅性能表示制度の耐震等級3(新耐震基準の約1.5倍の壁量)は、大きな損傷が見られず、大部分が無被害だったとされています。ただし、等級3で確認された物件数は16棟と少数です。

耐震診断・耐震改修の補助|2026年度に確認できた内容

熊本県のページには、県が市町村と連携して、戸建て木造住宅の耐震診断、耐震改修の設計・工事、建替えなどを支援していると書かれています。申請の窓口は、お住まいの市町村です。制度の内容や拡充の時期は市町村ごとに異なり、県のページに市町村ごとの一覧はありません。主要市町村の窓口は次のとおりです(県のページ、2025年4月1日更新)。

熊本市 住宅政策課096-328-2449
合志市 都市計画課096-248-3855
大津町 都市計画課096-293-4011
菊陽町 都市計画課096-232-4927

1.熊本市の制度

熊本市の「戸建木造住宅の耐震化事業一覧」では、平成12年5月31日以前に着工した戸建木造住宅が対象と案内されています。メニューは、耐震診断士の派遣、改修設計と工事の一括、建替えの設計と工事の一括、耐震改修工事と監理のみ、耐震シェルターの設置です。補助額や上限は、一覧のページには載っておらず、市の手引きや要綱で確認する必要があります。

耐震診断士派遣事業(2026年度)申込者の負担は1件5,000円。第2期の受付は2026年10月2日まで。30〜60件程度で先着順ではない。令和8年熊本地震の影響で、実際の調査は早くても11月中旬ごろから
耐震改修 改修一括メニュー受付は2026年4月22日から原則10月30日まで。当面40〜50件の予定。2026年8月20日付で、予算調整のため今後の相談は一旦預かりと案内
耐震改修 建替え一括メニュー受付は2026年4月28日から原則10月30日まで。当面10数件の予定。同じく8月20日付で、今後の相談は一旦預かりと案内

診断士派遣事業のページには、個別に建築士へ依頼した場合の費用は十数万円とされていると書かれています。申込みは郵送が原則で、電子申請も可能です。改修や建替えの補助は、契約前に申請して交付決定を受ける必要があります。国の税制で所得税や固定資産税の軽減を受けるには「住宅耐震改修証明書」が必要で、市が発行できるのは本事業を使って改修したものに限られます。予算の状況は変わるため、利用を考えるときは、まず住宅政策課の建築支援班に確認してください。

2.大津町の制度

大津町の戸建木造住宅耐震改修等事業補助金は、2026年5月15日から9月30日の受付でした(ページ更新日は2026年4月3日)。対象は、現在居住している戸建て木造住宅で、耐震診断の上部構造評点が1.0以下、2000年5月31日以前の着工または2016年熊本地震で被災したものなどです。補助の例は、耐震改修設計が3分の2(上限20万円)、耐震改修工事が2分の1(上限60万円)、耐震シェルターが2分の1(上限20万円)で、設計と改修の一括は着工時期等により上限が115万円から157.5万円です。受付はすでに終了しており、次の募集は町の都市計画課に確認が必要です。

菊陽町と合志市の2026年度の耐震補助の内容は、公式ページで確認できませんでした。窓口に問い合わせてください。

液状化を確認する

液状化は、地震の揺れで砂地盤が液体のようになる現象で、建物の傾きや沈下、地中の配管の破損につながります。国土交通省の資料では、2016年熊本地震の液状化は、埋立地ではなく、内陸部の河川沿岸などの自然堆積地盤や砂利の採取跡地で多く起きたとされています。被害は外構の沈下・傾斜、戸建住宅の不同沈下、電柱の沈下などでした。

熊本市は、液状化ハザードマップ(平成26年2月作成)を公開しています。地形区分とボーリング調査の結果から、液状化の危険度を判定したものです。直下の地震、立田山断層地震、布田川・日奈久断層帯地震の3つの判定を重ね合わせ、最大の危険度を示しています。なお、同ページでは、地震・液状化のマップは平成23年と26年の作成で、ページ上では更新の記載がないと確認できます。ほかの市町村にお住まいの場合は、後述のハザードマップポータルサイトの「わがまちハザードマップ」から、各市町村のマップを探してください。

2020年7月豪雨と浸水の備え

熊本県のページによると、2020年7月3日から4日にかけての豪雨で、県南9地点で12時間降水量が観測史上1位を記録しました。国土交通省八代河川国道事務所の資料では、球磨川の浸水面積は約1,150ha、浸水戸数は約6,280戸と確認され、県内の犠牲者は65名(災害関連死は除く)、そのうち球磨川流域が50名と推測されています。この洪水は、人吉市の青井阿蘇神社で、昭和40年7月洪水を約1.5m上回る水位だったとも記されています。

熊本市の浸水対策の補助

熊本市には、浸水のおそれがある建物の所有者や使用者を対象に、止水板等設置補助金があります。止水板の設置工事や購入費の2分の1、1件あたり上限50万円で、受付は2027年2月28日までです(完了届等は2027年3月20日まで)。交付決定の前に工事や購入をすると対象外になります。対象地域は、過去に浸水被害があった地域と、ハザードマップや内水浸水想定図で浸水のおそれがある地域です。事前に河川課に相談するよう案内されています。

ハザードマップの見方と確認の手順

熊本市のページによると、洪水・高潮・津波・土砂災害のハザードマップは令和8年(2026年)2月に更新されています。洪水は想定し得る最大規模の降雨による浸水想定区域を示し、土砂災害は県が公表する土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と警戒区域(イエローゾーン)を示します。津波は、雲仙断層群、布田川・日奈久断層帯、南海トラフの巨大地震の3つを重ね合わせた最大の浸水域と浸水深です。地震ハザードマップには、揺れやすさ(震度)と、地域の建物全壊率の予測があります。

  • 熊本市のWeb版ハザードマップ(hazard.kumamoto-city.jp)で、自宅の住所に洪水・土砂災害・津波・高潮の想定があるか確認する
  • 国土交通省のハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」に住所を入力して、洪水・内水・土砂災害・高潮・津波のリスクを重ねて見る。2026年7月13日からは、指定避難所も表示できる
  • 熊本市以外の場合は、同サイトの「わがまちハザードマップ」から、お住まいの市町村が公開しているマップへ進む
  • 自宅だけでなく、勤務先や子どもの学校、避難所までの道すじも確認する
  • 想定の浸水の深さと、自宅の階数、駐車場や1階の設備の位置を照らし合わせる
  • 不明な点は、市町村の防災や河川の担当課、熊本市はコールセンター(096-334-1500)に確認する

避難の基本|警戒レベルの考え方

内閣府の「避難情報に関するガイドライン」は2026年3月に改定され、河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮の防災気象情報が、5段階の警戒レベルに対応する形に整理されました(新しい運用は2026年5月下旬開始)。気象庁のページでは、レベルごとの考え方が次のように示されています。

レベル2相当ハザードマップなどで、災害の想定区域、避難先、避難経路を確認する
レベル3相当高齢者等は危険な場所から避難。ほかの人も外出などの普段の行動を控え始め、避難の準備をする
レベル4相当危険な場所からの避難が必要。避難指示を待たずに、キキクルや河川の水位情報で自ら判断する
レベル5相当すでに災害が起きている可能性が極めて高い。命の危険が迫っているため、すぐに身の安全を確保する

気象庁は、防災気象情報は自治体の避難指示などより先に発表されることが多いと説明しています。避難先は、指定避難場所に限りません。川や崖から離れた近くの頑丈な建物の上層階なども含め、その時点で最善の行動をとることが大切とされています。内閣府のガイドラインの資料には、避難行動として、指定緊急避難場所、親戚・知人宅、ホテル・旅館への立退き避難と、上階へ移動するなどの屋内安全確保が区別して載っています。

家の備蓄の基本

農林水産省のページによると、飲料用と調理用の水は1人1日あたり3リットルが目安で、最低3日分として9リットルの備蓄が必要です。湯せんや食器・食品を洗う水は別に必要とされています。食品については、同省が「災害時に備えた食品ストックガイド」を公開しています。内閣府の広報誌(平成25年度)には、南海トラフ巨大地震を想定して、備蓄は1週間以上が望ましいという指摘が載っています。また、日常的に食べるものを多めに買い足す「ローリングストック」の活用が紹介されています。

  • 家族の人数と、乳幼児・高齢者・持病やアレルギーの有無に合わせて、必要な量と種類を考える
  • 水、食品のほか、カセットコンロとカセットボンベ、携帯トイレ、懐中電灯、常備薬、充電用の電池なども用意する

令和8年熊本地震の被災住宅について

熊本市のページ(2026年10月15日更新)によると、令和8年7月28日の地震の罹災証明書は、窓口が2026年10月30日(金)16時まで、電子申請(マイナポータル)が10月31日(土)までの受付です。被害の程度によって区分が決まり、応急修理など支援の対象になるかどうかは、この区分で変わります。熊本県のページでは、熊本市を除く県内の複数の市町村で、災害救助法による住宅の応急修理が行われ、窓口は市町村ごとに設けられていると案内されています。耐震診断の調査日程にも影響が出ていることは前述のとおりです。

確認の手順

  • 1 自宅の建築時期(昭和56年5月以前、平成12年5月以前、それ以降)を確認する
  • 2 古い木造住宅なら、市町村の耐震診断の事業が使えるか、窓口に聞く
  • 3 ハザードマップで、洪水・土砂災害・液状化・津波の想定を確認する
  • 4 避難先と道すじ、警戒レベルが上がったときに動く基準を、家族で決める
  • 5 水・食品・トイレなどの備蓄を点検する
  • 6 補助は契約・着工の前に申請が必要なものが多いため、工事の前に窓口で相談する

よくある質問

築年数が新しければ、耐震診断は必要ありませんか?

国土交通省の分析では、平成12年以降の木造住宅でも7棟の倒壊が確認されています。熊本市の耐震化事業は平成12年5月31日以前に着工した住宅が対象ですが、新しい住宅でも、地盤や接合部の状態は個別に違います。気になる場合は、建築士や施工会社に相談してください。

耐震診断はいくらかかりますか?

熊本市の耐震診断士派遣事業(2026年度)では、申込者の負担は1件5,000円です。個別に建築士へ依頼すると十数万円とされています。ただし、2026年度の第2期の受付は10月2日で終了しており、調査も11月中旬ごろ以降になる予定です。次回の募集は住宅政策課に確認してください。

液状化が心配です。どこで調べればよいですか?

熊本市内なら、市の液状化ハザードマップ(平成26年2月作成)で確認できます。そのほかの市町村は、国土交通省のハザードマップポータルサイトの「わがまちハザードマップ」から各市町村のマップを探してください。土地購入や建築の前には、地盤調査の結果も施工会社に確認しましょう。

地震や水害の保険はどう考えればよいですか?

保険の仕組みと選び方は、当サイトの「熊本で家を建てたら入る火災保険・地震保険」で整理しています。契約内容は保険会社や代理店に確認してください。

出典・参考情報

2026年10月18日時点で確認した内容です。最新の情報は各公式情報をご確認ください。

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